福岡公文書館ブログ

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  • 日: 2024年9月13日

    2024年9月13日

    公文書でめぐるふるさと福岡 ~粕屋町~

    今回は粕屋町(かすやまち)の紹介です。

    粕屋町の位置

     

    粕屋町の地理

    粕屋町は福岡県の北西部に位置しており、西側が福岡市(ふくおかし)、北側が久山町(ひさやままち)、東側が篠栗町(ささぐりまち)須恵町(すえまち)、そして南側が志免町(しめまち)、というように1市4町に隣接しています。

    粕屋町の面積は、14.13平方キロメートルで、町内には駕与丁池(かよいちょういけ)をはじめとする大小のため池が点在し、多々良川(たたらがわ)須恵川(すえがわ)が町内を東西に流れています。

     

    ワンポイント粕屋町

    一般国道201号、福岡都市高速道路4号線、九州自動車道が通り、JRの篠栗線(福北ゆたか線)香椎線(かしいせん)長者原駅(ちょうじゃばるえき)を交点に十文字に交差して走っています。また福岡空港にも近いなど、交通の利便性の高い町です。

    『第5次粕屋町総合計画』平成27年度 粕屋町行政資料(2-4-0005518)

    住民人口が着実に増え続けており、市制施行条件の5万人に達するのも間近と言われています。

    福岡県のホームページで紹介されていますが、県内で最も高齢化率の「低い」自治体です。(https://www.pref.fukuoka.lg.jp/contents/koreisyajinko20240401.html)

    かねてから、京都の妙心寺(みょうしんじ)に伝来する国宝の梵鐘に、古代7世紀末ごろの糟屋政庁の長官・舂米連廣國(つきしねのむらじひろくに)という名前が刻まれていることが知られていました。2013(平成25)年から発掘が開始された阿恵官衙遺跡(あえかんがいせき)が、まさにその時代の政庁跡であることが明らかになり、古代の役所の位置とその長官の氏名が判明するという、全国的にも極めて珍しい事例となりました。

     

    『粕屋評衙 阿恵遺跡』平成27年度 粕屋町行政資料(2-4-0005633) ※「郡(こおり)」という行政区画が用いられる以前の、「評(こおり)」という表記が使われていた時代の遺跡です。

     

    粕屋町の歴史

    (1)「優美なる歴史を閉じ」て合併

    明治以降、粕屋町は以下のような2度の合併を経て現在の姿になりました。

    1889(明治22)年 近隣の村々が合併し、大川村(おおかわむら)仲原村(なかばるむら)が誕生

    1957(昭和32)年 大川村と仲原村が合併して粕屋町が誕生

    『市町村の配置分合』昭和30年度 福岡県公文書(1-1-0024670)

    ただ合併協定書を見る限り「優美なる歴史を閉じ」「時代の趨勢と国策に従い」などの表現があり、自発的な合併というより国や県からの勧奨に従った、ある種の諦めムードが漂っているようにも感じられるのは深読みでしょうか。

     

    『市町村の配置分合』昭和30年度 福岡県公文書(1-1-0024670) ※ 協定書の部分です。

     

    (2)粕屋町の広報誌

    粕屋町が発行している広報誌は、粕屋町誕生の1957(昭和32)年から1973(昭和48)年12月までが『粕屋町だより』というタイトルで、それ以降1974(昭和49)年1月から現在までは『広報かすや』となっています。

    タイトルが変わっても号数は継承しており、途中若干の欠号はあるものの、第1号から今月(令和6年9月)の第765号まで、そのほとんどが当館に保存されています。

    『粕屋町だより其の一 第一号(昭和三二年八月) 第二六号(昭和三八年一月)』昭和37年度 第1号 粕屋町公文書(1-2-0007546) ※ 傷みが激しいですが貴重な1枚です。公務員以外の一般個人の氏名等が記載された部分はマスキング(非表示処理)しています。

     

    『広報かすや 昭和46年5月1日発行~昭和53年12月1日発行』昭和49年1月1日 第157号 粕屋町公文書(1-2-0007548) ※ タイトル変更のご挨拶が掲載されています。公務員以外の一般個人の氏名等が記載された部分はマスキング(非表示処理)しています。

     

    (3)粕屋町の町制施行記念誌

    粕屋町では5~10年ごとに合併・町制施行の記念誌を発行しています。実際に並べてみると、それぞれのキャッチフレーズがその時々の「町づくり」の方向性を表し、しかもそれが単なる場当たり的な美辞麗句ではなく、次の10年、次の次の10年へと着実につながる自治行政の一貫性を示していることが分かります。

    ①10周年

     

    『合併10周年記念 町勢要覧』昭和41年度 粕屋町公文書(1-2-0007559)

     

    ➁15周年のびゆく粕屋町

    『のびゆく粕屋町 合併15周年記念誌』昭和46年度 粕屋町公文書(1-2-0007560)

     

    ③20周年:輝く光と田園の町かすや

    『輝く光と田園の町かすや 町制施行20周年記念誌』昭和51年度 粕屋町公文書(1-2-0007561)

     

    ④30周年:語らいとふれあいのある町かすや

     

    『語らいとふれあいのある町かすや 町制施行30周年記念誌』昭和61年度 粕屋町公文書(1-2-0007565) ※

     

    ⑤35周年:会いたい人・・歩きたい風景・・大切な想い・・心のふるさと、粕屋町

     

    『KASUYA 町制施行35周年記念誌』平成4年度 粕屋町公文書(1-2-0007566)

     

    ⑥40周年:明日咲く、まち

     

    『明日咲く、まち 町制施行40周年記念粕屋町町勢要覧』平成9年度 粕屋町公文書(1-2-0007567)

     

    ⑦50周年:未来へつなぐまち

     

    『未来へつなぐまち 粕屋町制施行50周年記念誌』平成19年度 粕屋町公文書(1-2-0007568)

     

    ⑧60周年:ともに未来へ

     

    『広報かすや 2016年度』平成28年度 10月号 粕屋町公文書(2-4-0002189)

     

    (4)よみがえった「優美」遺伝子

    1985(昭和60)年、粕屋町は町花を制定しますが、そこで選ばれたのは優美・華麗なバラと清楚・可憐なコスモスの2種でした。かつて2村の「優美なる歴史を閉じ」て誕生した粕屋町ですが、30年近くを経てその優美なる遺伝子は不死鳥のようによみがえったようです。

    それにちなんで粕屋町は全国29自治体(2024年5月現在)で構成される「ばらサミット(ばら制定都市会議)」に加盟し、2005(平成17)年には第14回サミットを主催しました。またこれを機に駕与丁公園(かよいちょうこうえん)内にバラ園を整備し、毎年5月に「バラまつり」を開催しています。コロナ禍で中止となった時期もありましたが、今年2024(令和6)年には第20回を数え、その優美なる歴史を刻み続けています。

     

    『第14回 ばら制定都市会議(ばらサミット)』平成17年度 粕屋町行政資料(2-2-0000475)

     

     

    『広報かすや綴 2004(H16).4月号~2009(H21).3月号』平成17年度 5月号 粕屋町公文書(1-2-0007557)

    『広報かすや 2024年度』令和6年度 5月号 粕屋町行政資料(2-4-0024318)

     

    次回の「公文書でめぐる ふるさと福岡」もお楽しみに!

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