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  • カテゴリー: 大牟田市

    2024年6月14日

    公文書でめぐるふるさと福岡 ~大牟田市~

    今回は大牟田市(おおむたし)の紹介です。

    大牟田市の位置

    大牟田市は福岡県の最南端に位置しています。西に有明海を望み、北はみやま市、東は熊本県南関町(なんかんまち)、南は熊本県荒尾市(あらおし)と隣接しており、これらの自治体と熊本県長洲町(ながすまち)を含めて『大牟田都市圏』という呼び方もされています。現在はここに柳川市(やながわし)も加わって、大牟田市を中心とした『有明圏域定住自立圏構想』を推進しているところです。

     『広報おおむた』2021年6月1日号 大牟田市行政資料(2-4-0016195)

     

    大牟田市の歴史

    大牟田市は、現在の市域になるまでに以下のような変遷をたどりました。

    1889(明治22)年  町村制施行により大牟田町が発足

    1917(大正6)年  市制施行により大牟田町から大牟田市

    1929(昭和4)年  三川町(みかわまち)を編入

    1941(昭和16)年  玉川村(たまがわむら)駛馬町(はやめまち)三池町(みいけまち)

    銀水村(ぎんすいむら)を編入。

    その後、昭和の大合併、平成の大合併ともに異同はなく、2017(平成29)年に市制施行100周年を迎えています。

     

    まだ大牟田市に編入前の玉川村の文書の中に、三池炭鉱の経営に尽力した団琢磨に関連する文書がありました。亡くなった後に、本人の「遺志」として遺族から奨学金寄附の申出があったようです。

      

     『昭和十年以降願伺指令綴 三池郡玉川村役場』昭和16年度 大牟田市公文書(1-2-0012549)

    1941(昭和16)年の町村合併の際には詳細な事務引継書が作成されています。画像は銀水村の部分ですが、備品目録には「火鉢」「キリ」など、時代を感じさせる用具が並んでいます。

    そして「ホチッキス」とは? 現在ホッチキスと呼ばれている物の単純な誤記なのでしょうか、あるいは当時はそう呼ばれていたのでしょうか、はたまた全く違う現在に継承されていない謎の事務機器なのでしょうか

       

     

     『昭和16年4月町村合併事務引継書』昭和16年度 大牟田市公文書(1-2-0011894)

     

     『年表と写真で見る大牟田市の100年(『新大牟田市史』別冊)』平成29年度 大牟田市行政資料(2-4-0007415)

     

    大牟田市と石炭産業

    大牟田と言えばやはり石炭と三池炭鉱を抜きにしては語れません。大牟田における採炭の歴史は古く、江戸時代中期にまで遡ります。そして明治初期に富国強兵政策を推し進める政府のもと、一旦は官営の三池炭鉱となりますが、その後大牟田町が発足する1889(明治22)年には官営から三井に払い下げられています。

    以後大牟田は石炭資源を基盤に重化学工業都市として発展し、1957(昭和32)年には市制施行40周年の記念事業として『大牟田産業科学大博覧会(石炭博)』を開催するまでに至りました。

     『市政だより』31号(昭和32年9月25日) 大牟田市行政資料(2-2-0001018)

     

    しかし同時にこの頃から石炭にも陰りが見え始め、やがて高度経済成長期を迎えると共にエネルギーの主役は石炭から石油へと移り、石炭採掘や石炭を基盤とする産業は衰退へと向かいます。

    そして1997(平成 9)年、奇しくも大牟田市市制施行80周年の年に三池炭鉱は閉山し、日本の近代化や戦後復興を支え続けたその歴史に幕を下ろすこととなりました。

     『広報おおむた』772号(平成9年4月15日号) 大牟田市行政資料(2-2-0001020)

     

     『グラフふくおか』484号(平成9年4月号) 福岡県行政資料(2-1-0006035)

     

    石炭産業からの脱却

    基幹産業であった石炭産業の衰退に合わせ、大牟田市では石炭依存からの脱却を企図し、財政再建計画の策定や有明海沿岸部の福岡県内・熊本県内の自治体との県境を越えた連携(有明沿岸サミット)等を模索しました。

     『有明海地域総合開発協議会』昭和62年度 福岡県公文書(1-1-0002699)

    平成時代には構造改革特区制度を活用した、石炭産業から「環境・リサイクル産業」という新たな基幹産業へと産業構造の転換を試みる「エコタウン事業」を推進、さらには、高速道路、鉄道、空港、港湾というあらゆる輸送手段へのアクセスが60分以内という地理的優位性を活かした工場団地「大牟田テクノパーク」を造成し、企業誘致に力を入れるなど地域経済の再浮揚を目指しています。

      

     『構造改革特別区域(大牟田)3』平成15年度 福岡県公文書(1-1-0009451)

     

      

     『大牟田テクノパーク』平成8年度 福岡県公文書(1-1-0038450)

    また、市制施行100周年を目前に控えた2015(平成27)年には、三池炭鉱の残存施設である「宮原坑(みやのはらこう)」「三池炭鉱専用鉄道敷跡(みいけたんこうせんようてつどうじきあと)」「三池港(みいけこう)」の3施設が「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」として世界文化遺産に登録されました。かつての基幹産業の歴史と栄光に再びスポットライトが当たり、新しい観光資源としての魅力に期待が集まっています。

     『大牟田市勢要覧』平成29年度 大牟田市行政資料(2-4-0012188)

     

    次回の「公文書でめぐる ふるさと福岡」もお楽しみに!

     

     

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