福岡公文書館ブログ

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    2024年1月28日

    公文書でめぐるふるさと福岡 ~うきは市~

    今回の「公文書でめぐる ふるさと福岡」は、うきは市です。

    ◆うきは市の地理

    うきは市は福岡県の南東部に位置し、朝倉市、久留米市、八女市、大分県日田市と接しています。南に耳納連山(みのうれんざん)を抱き、北に「筑紫次郎」と称される筑後川(ちくごがわ)が流れる自然に恵まれた地域です。

    耳納連山を源流とする巨瀬川(こせがわ)、小塩川(こじおがわ)、隈上川(くまのうえがわ)が市内を流れ、筑後川に注ぎ込んでいます。市域は、筑後川の南に広がる平坦部、平坦部と山間部との間にある山麓部、耳納連山に属する山間部に区分されます。平坦部には肥沃な水田地帯、山麓部には果樹地帯が形成され、山間部は棚田などを含む森林となっています。

     

    ◆うきは市誕生

    昭和26(1951)年、御幸町が山春村、大石村及び姫治村を編入するとともに浮羽町へと町名を変更しました。昭和30(1955)年には吉井町、江南村、福富村、千年村及び船越村の一部が合併して吉井町が生まれました。

    平成17(2005)年3月20日、浮羽町と吉井町が合併して「うきは市」が誕生します。福岡県内26番目の市で、平成の大合併としては県内4番目の合併となりました。平成15年4月に、2町によって設置された法定協議会の記録が残っています。

    『広報うきは』平成17(2005)年度 うきは市行政資料 (2-2-0000492)

     

    『合併協議会関連事蹟』平成15(2003)年度 うきは市公文書 (1-2-0009703)

     

    公文書館には、現在のうきは市の公文書だけではなく、合併前の吉井町・浮羽町の公文書、さらにさかのぼって明治・大正・昭和の各村の公文書が保存されています。

    『古文書M20~26(自明治二十年至同廿六年役場事務引継書)』明治26(1893)年 うきは市公文書 (1-2-0045260)

     

    ◆伝統的建造物群保存地区

    うきは市には、文化庁が選定した伝統的建造物群保存地区が2地区あります。景観行政団体として「うきは市景観計画」(平成23年3月)を作成、伝統的建造物の保存だけではなく活用を進めながら、歴史の伝承や文化の向上、地域活性につなげています。

    『景観計画策定事業』平成23(2011)年度 うきは市公文書 (1-2-0049519)

     

    【筑後吉井(ちくごよしい)】平成8(1996)年12月10日選定

    江戸時代、有馬藩の城下町久留米と天領日田を結ぶ豊後街道の宿場町として栄えたうきは市吉井町。町屋や土蔵が連続する町並みと、豊かな緑に包まれた屋敷や社寺建築、さらに吉井の経済基盤を支えてきた河川や水路などが一体となって歴史的風致を形成しており、筑後地方の商業都市として、特色ある歴史的景観を伝えています。平成8(1996)年に県内で初めて、文化庁の「伝統的建造物群保存地区」に選定されました。その町並みを背景に、平成5年から「筑後吉井おひなさまめぐり」が行われています。第32回の今年は、令和6(2024)年2月11日(日)~3月20日(水)に開催が予定されています。

    『浮羽地域振興計画推進1』平成11(1999)年度 福岡県公文書 (1-1-0003835)

     

    『筑後吉井おひなさまめぐり』平成27(2015)年度 うきは市公文書 (1-2-0046844)

     

    【新川田篭(にいかわたごもり)】平成24(2012)年7月9日選定

    新川地区及び田篭地区には、湧水や豊かな水系によって発達した棚田が集落と渾然一体となって残っています。国の重要文化財に指定されているくど造り民家「平川家住宅」をはじめとして、伝統的な茅葺民家が残り、棚田や山林に取り囲まれた、昔ながらの山村集落の景観を見せています。平成10(1998)年には棚田を守る大切さを都市住民に実感してもらいながら保全を図る取り組みとして、「棚田オーナー制度」がスタートしました。平成11(1999)年には新川地区の葛篭(つづら)の棚田が農林水産省の「日本棚田百選」に選定され、平成12(2000)年には、「全国棚田サミット」を星野村と共同開催するなど、棚田を中心とした地域振興が行われています。

    『景観計画策定事業(新川・田篭地区文化的景観調査中間報告書)』平成21(2009)年度 うきは市公文書 (1-2-0045290)

     

    『中山間ふるさと・水と土保全対策事業』平成12(2000)年度 福岡県公文書 (1-1-0004314)

     

    ◆森林セラピー

    「森林セラピー」とは、ストレスホルモンの減少や血圧の低下など、心身への健康維持・増進等の効果が科学的な証拠に裏付けされた森林浴のことです。この森林セラピーに適しているとして特定非営利活動法人森林セラピーソサエティが認定した場所を「森林セラピー基地」といいます。福岡県内では、うきは市、八女市、篠栗町、豊前市の4市町が、森林セラピー基地として認定されています。

    うきは市は市内の森林が持つリラックス効果が実証され、平成20(2008)年4月に北部九州で初めて森林セラピー基地として認定されました。市内には、石積みされた棚田の景観が美しい「つづら棚田の散歩道コース」と、水辺の空気が心地よい「巨瀬の源流の散歩道コース」の2つの認定セラピーロードがあります。

    『福岡県観光推進協議会(観光地づくり)(うきは市)』平成22(2010)年度 福岡県公文書 (1-1-0034667)

     

    ◆とびうめ国体

    「とびうめ国体」(第45回国民体育大会)は、平成2(1990)年に福岡県で開催されました。浮羽町ではカヌー競技、吉井町では銃剣道競技が行われました。うきは市から移管された資料には、ビデオテープ、写真のネガ、レコード、国体の旗、ステッカー、ワッペンなどがあり、様々な形で町の歴史が残されています。

    『第45回国民体育大会レコード(とびうめ国体音頭・とびうめ国体の歌)』平成2(1990)年度 うきは市行政資料 (2-4-0019411)

     

    ◆豪雨災害の記録

    平成24(2012)年7月の九州北部豪雨により、うきは市は甚大な被害を受けました。災害の経験・記憶を風化させないため、また、今後の教訓として後世に伝えるため、『平成24年7月九州北部豪雨災害記録誌(冊子版・簡易版)』が発行されました。簡易版は、うきは市防災サイト(平成24年7月九州北部豪雨の災害記録誌を発行しました / 防災サイト / うきは市 (city.ukiha.fukuoka.jp)でも見ることができます。

    『平成24年7月九州北部豪雨災害記録誌』平成26(2014)年度 うきは市行政資料 (2-4-0000071) ※冊子版

     

    『平成24年7月うきは市の災害記録 九州北部豪雨DOCUMENT』平成26(2014)年度 うきは市行政資料 (2-4-0000070) ※簡易版

     

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    福岡共同公文書館では、福岡県と県内58市町村(政令市である北九州市、福岡市を除く)の歴史公文書(歴史資料として重要な公文書)や行政資料を、収集、整理、保存し、皆様に提供しています。

    常設展示では、戦後から今日までの「福岡県」を当館の公文書や行政資料で振り返るとともに、所蔵する歴史公文書や行政資料をもとに県内の市町村を順番に紹介しています。現在(令和5年11月10日~令和6年3月24日予定)紹介している市町村は、うきは市・宇美町・大川市・大木町・大任町・大野城市です。

    お近くにお越しの際は、ぜひ福岡共同公文書館にお立ち寄りください。

    次回の「公文書でめぐる ふるさと福岡」もお楽しみに!

     

    2024年1月5日

    公文書でめぐるふるさと福岡 ~春日市~

    春日市は東西4キロメートル、南北5.34キロメートル、面積が14.15平方キロメートルと非常にコンパクトで、福岡都市圏のほぼ中央部に位置しています。福岡市の中心部まで約10キロメートルという便利なロケーションで、そのため昭和40年代以降、福岡都市圏の住宅都市としての魅力を発揮してきました。

    春日市は一昨年(令和4年)市制施行50周年を迎えました。今回は、前身である「春日町」の誕生から現在までの歴史の中で注目しておきたい文書を少し紹介します。

    明治22(1889)年、春日、上白水、下白水、小倉、須玖の5村が合併し、春日市の前身である「春日村」が誕生しました。

    その後、昭和28(1953)年に町制施行により「春日町」となります。

    『町制施行関係書』昭和27年度(1-2-0006857)

    「春日町」としての第1号の告示、町議会招集を告げる内容です。

    『告示原本(S25~35年度)』昭和35年度(1-2-0006871)

    昭和38(1963)年には、町政施行10周年を記念して「町章」が制定されました。広く町民に案を募り、入選作品をもとにデザインが決定されました。この「町章」は市制施行後も引き継がれ、現在は「市章」となっています。

    『昭和38年 町章関係事績綴』昭和38年度(1-2-0006858)

    昭和47(1972)年には、市制施行により「春日市」が誕生しました。

    『市制施行関係書』昭和46年度(1-2-0006860)

    市制施行5周年を記念して、昭和52(1977)年に「市の木」「市の花」が選定されました。それを報告する広報紙『市報かすが』の記事ですが、これは通常の紙で保存されたものではなく、マイクロフィルム撮影された資料をプリントアウトしたものです。

    公文書というとどうしても「紙」の文書を想像してしまいますが、こうしたマイクロフィルムという形態で保存されたものも存在します。

    『昭和39年~昭和56年 広報誌(マイクロフィルム№2)』昭和56年度(2-2-0001064)

    昭和59(1984)年、春日市は全国で初めてとなる『個人情報保護条例』を制定、施行しました。この画期的な条例の実現は、情報公開条例と個人情報保護条例の制定を要望する市民からの請願を契機としたものでした。

    この事実は40年近くを過ぎた今もなお、一般財団法人地方自治研究機構のホームページで紹介され、著名な法学者・堀部政男氏の「我が国におけるプライバシー保護策の歴史の中で、画期的なものであると評価できる」という文章が添えられています。 (http://www.rilg.or.jp/htdocs/img/reiki/017_privacyprotection.htm)

    『議会請願書』昭和56年度(1-2-0006908)

    『昭和57年~平成4年 広報誌(マイクロフィルム№3)』平成4年度(2-2-0001065)

    平成13(2001)年、『出前トーク「市長と語る」』がスタートしました。「地方の時代」「協働のまちづくり」というスローガンを眼に見える形にした施策で、22年を経た現在も700回を超えて継続しています。

     

    『市報かすが 平成13年版』平成13年度(2-2-0001045)

    そして市制施行50周年を迎えた今、この協働の取組みを未来へつなぐため、これまでの成果と、それを支えた各自治会の着実な活動を紹介する冊子が発行されました。

    『未来へつなぐ 春日市の協働のまちづくり―春日市制50周年を記念して―』令和4年度(2-4-0021463)

    次回の「公文書でめぐる ふるさと福岡」もお楽しみに!

    福岡共同公文書館
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