今回の「公文書でめぐる ふるさと福岡」は、嘉麻市(かまし)です。
◆嘉麻市の地理
嘉麻市は、面積135.11平方キロメートル、福岡県のほぼ中央に位置し、北は飯塚市(いいづかし)に、東は田川市(たがわし)、川崎町(かわさきまち)、添田町(そえだまち)に、西は桂川町(けいせんまち)に、南は朝倉市(あさくらし)、東峰村(とうほうむら)にそれぞれ接しています。
市の南部は古処(こしょ)・屏(へい)・馬見(うまみ)連峰、南東部は戸谷ヶ岳(とやがたけ)、熊ヶ畑山(くまがはたやま)などの山林で、そこを源とする遠賀川(おんががわ)をはじめとする河川が南から北に流れ、市の北部及び北西部に流域平野を形成しています。
また、市全体の約72%が森林と耕作地で、多様な生態系を保護する山林や河川流域に広がる生産緑地などの、水と緑が豊富な地域です。
◆嘉麻市の誕生
平成18(2006)年3月27日、嘉穂南部の1市3町、山田市(やまだし)・碓井町(うすいまち)・稲築町(いなつきまち)・嘉穂町(かほまち)が合併して、嘉麻市(かまし)が誕生しました。合併前の各市・町の歴史については、市・町誌(史)に詳しく記載されています。
『山田市誌』昭和60年度 嘉麻市(旧山田市)行政資料(2-4-0015179)
『碓井町誌』昭和57年度 嘉麻市(旧碓井町)行政資料(2-4-0015181)
『稲築町史 上・下巻』平成15年度 嘉麻市(旧稲築町)行政資料(2-4-0015183、2-4-0015184)
『嘉穂町誌』昭和58年度 嘉麻市(旧嘉穂町)行政資料(2-4-0015182)
◆合併以前の市町村公文書
公文書館には合併前の市町村の公文書も保存されています。当館が所蔵する最も古い嘉麻市の公文書は、『明治9年 地租取調帳 村控』(上山田村)となっています。また、『戦災者名簿』、『引揚者台帳』など、戦争に関連する資料も残されています。
『明治9年 地租取調帳 村控』明治9年度 嘉麻市(旧上山田村)公文書(1-2-0003898)
『昭和21年起 戦災者名簿 山田町』昭和21年度 嘉麻市(旧山田町)公文書(1-2-0003880)
『昭和30年度 引揚者台帳』昭和30年度 嘉麻市(旧大隈町)公文書(1-2-0003807)
◆石炭産業の記録
嘉麻市の石炭産業の歴史は古く、旧市町史(誌)等に詳細に記録されており、当時の写真も多く残されています。また、石炭産業と切り離せない鉄道に関する記録も残されています。
『きらり!やまだ”ありがとう山田市”人と、自然とITと。山田市閉市記念誌』平成17年度 嘉麻市(旧碓井町)公文書(1-2-0038391)
『碓井町誌』昭和57年度 嘉麻市(旧碓井町)行政資料(2-4-0015181)
『稲築町史 下巻』平成15年度 嘉麻市(旧稲築町)行政資料(2-4-0015184)
『昭和27年 國鉄油須原線陳情書綴 市長室企画係』昭和27~33年度 嘉麻市(旧山田市)公文書(1-2-0003868)
◆平成の合併の記録
平成16(2004)年11月5日、嘉穂南部1市3町による「嘉穂南部1市3町合併協議会」が設置され、平成17年1月には、新市建設計画が作成されました。
新市名は公募され、1市3町が属していた郡名でもあった「嘉麻」と決定されました。令和2(2020)年3月には新庁舎が開庁しました。
『嘉穂南部1市3町 合併協議会だより 山田市・稲築町・碓井町・嘉穂町 創刊号』平成16年度 嘉麻市(旧碓井町)公文書(1-2-0038389)
『嘉穂南部1市3町 新市建設計画』平成17年度 嘉麻市(旧碓井町)公文書(1-2-0038388)
『山田市・稲築町・碓井町・嘉穂町 合併のあゆみ -新「嘉麻市」誕生までの記録-』平成18年度 嘉麻市(碓井町)公文書(1-2-0038396)
『広報嘉麻 2020年度』令和2年度 嘉麻市行政資料(2-4-0014031)
◆義務教育学校の新設
令和5(2023)年4月、嘉麻市に3つの義務教育学校が開校しました。子どもたちは新しい学び舎で学校生活をスタートさせました。
『広報嘉麻 2023年度』令和5年度 嘉麻市行政資料(2-4-0021395)
◆カマデジ
嘉麻市のホームページを開くと、「カマデジ」という文字が目を引きます。「カマデジ」こと「嘉麻市デジタル推進計画」は、「デジタル・人・自然が融合するまち、嘉麻」をビジョンとして、令和6(2024)年2月に策定されました。
広報紙の表紙を飾るのは嘉麻市のマスコットキャラクター、ゆるキャラ係長の「かまししちゃん」です。
『広報嘉麻 2024年度』令和6年度 嘉麻市行政資料(2-4-0024308)
◆嘉穂アルプス
馬見山(うまみやま)(978m)・江川岳(えがわだけ)(861m)・屏山(へいざん)(927m)・古処山(こしょさん)(860m)からなる通称「嘉穂アルプス」は、平成28(2016)年度には九州で2例目となる日本山岳遺産に認定されました。嘉穂アルプスは、見所も豊富で、特別天然記念物にも指定されているツゲの原始林の他にオオキツネノカミソリ、ニシキキンカメムシなどの貴重な生態系が保全されている自然豊かな山域です。
嘉麻市の土地の約6割を占める森林。森林を守り、森林を活かすために、様々な取り組みが行われています。
『福岡県嘉麻市市勢要覧 2019』平成30年度 嘉麻市行政資料(2-4-0012005)
『広報嘉麻 2024年度』令和6年度 嘉麻市行政資料(2-4-0024308)
次回の「公文書でめぐる ふるさと福岡」もお楽しみに!