福岡公文書館ブログ

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  • 日別: 2020年11月19日

    2020年11月19日

    ミニ特集「公文書と〈害虫〉」より ②IPMとおまけの展示

    芸術の秋ですね。皆さまは、美術館や博物館にいかがお過ごしでしょうか。

    10月20日のブログ「ミニ特集「公文書と〈害虫〉」より①虫損を受けた公文書」でもご紹介しましたが、受け入れた資料を長期にわたって虫やカビの害から守り保存することは公文書館の大切な仕事です。今回は、入替から1か月が経過しました、常設展秋のミニ特集「公文書と〈害虫〉」より、文化財IPMとエントランスのおまけの展示についてご紹介します。

    曝書ばくしょ曝涼ばくりょう(虫干し)とは、奈良時代から千年以上もつづく、日本の伝統的(文化財の)保存管理法(行事)です。書物や宝物を日や風に当て、湿気を飛ばし、虫やカビを払い、目通し・風通しにより状態を点検を行います。資料を丁寧に扱い、何重にも収納し、定期的に曝涼と点検を行い、必要に応じて修理を行うというサイクルになっています。

    第二次世界大戦後(1960(昭和30)年代から)、臭化メチルと酸化エチレンの混合ガスによる燻蒸くんじょう(気化させた薬剤による殺菌殺卵殺虫処理)が採用され、次第に大規模で定期的なガス燻蒸が曝涼の代わりに普及していきました(1980年代)。1997年「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」の締結によって、先進国では2005年から臭化メチルが全廃されることとなり、文化財IPM総合的有害生物管理そうごうてきゆうがいせいぶつかんり:Integrated Pest Management)の考え方が本格的に導入されていきます。

    文化財IPMとは、「博物館・美術館・資料館・図書館・文書館等の建物において考えられる有効で適切な技術を合理的に組み合わせて使用し、展示室、収蔵庫、書庫など資料のある場所では、文化財害虫がいないことと、カビによる目に見える被害がないことを目指して、建物内の有害生物を制御し、その水準を維持する」という考え方で、薬剤だけに頼らず日常的な保存環境の点検整備による予防対策が中心となっています。(参考:公益財団法人 文化財虫菌害研究所『文化財IPMの手引き』2014年)

    IPMという概念はもとは農業分野で生まれました。1960年代、環境問題が深刻化して、生物多様性や環境保全型農業といった自然にとって望ましい在り方への関心が高まり、1965年以降IPMという考え方が育っていきます。

    Integrated Pest Management (総合的有害生物管理:IPM)とは、「利用可能なすべての防除ぼうじょ技術を経済性を考慮しつつ慎重に検討し、病害虫・雑草の発生増加を抑えるための適切な手段を総合的に講じるものであり、これを通じ、人の健康に対するリスクと環境への負荷を軽減、あるいは最少の水準にとどめるものである。また、農業を取り巻く生態系のかく乱を可能な限り抑制することにより、生態系が有する病害虫及び雑草抑制機能を可能な限り活用し、安全で消費者に信頼される農作物の安定生産に資するもの」とされています。(農林水産省,2011ガイドライン:FAOの定義(2013))

    IPMを実践する生産者は「要防除水準ようぼうじょすいじゅん」や「病害虫発生予察びょうがいちゅうはっせいよさつ情報」などを参考に、病害虫・雑草の発生をよく観察し、防除要否や防除手段およびタイミングを判断する必要があります。このIPMの考え方は、現在、病院、食品工場、建築物衛生分野等の多方面でいかされ、文化財分野にも影響を与えています。


    文化財IPMや資料の保存について、もっと詳しく知りたい方は、こちらもどうぞ。


     

    【エントランスのおまけの展示】

    展示室入口では、文化財害虫ザウテルシバンムシの昆虫標本と被害本を実際に手に取ってご覧いただけます。

    (資料協力:東京文化財研究所 保存科学研究センター)

     

    国際植物防疫年2020関連資料スペースでは、門司植物防疫所福岡支所からお預かりした植物検疫のパンフレット類と、展示でも資料をご紹介している福岡農林業総合試験場のご案内を置いています。ご来館の際には、エントランスのおまけ展示もご覧ください。

    ロビーでは過去の企画展のポスターを展示しています。

    福岡共同公文書館では常設展の一部を入替、秋のミニ特集「公文書と〈害虫〉」がご覧いただけます。

    Web展示で一部資料をご紹介しておりますので、そちらもどうぞ。

    福岡共同公文書館
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